第11回制度の解説

生活保護の自動車保有要件が緩和へ?最新の例外規定と就労支援策

原則禁止されている生活保護中の自動車保有ですが、未就学児のいるひとり親世帯等を対象としたルール緩和が検討されています。現在の例外規定と、自立を後押しする地方自治体の就労支援策について解説します。

軽自動車の後部座席に取り付けられたチャイルドシートと、置かれた通園バッグ

原則として、生活保護受給中の自動車保有は、車が「資産」とみなされることや維持費がかかるという理由から認められていません。

しかし、一定の条件を満たせば例外的に保有が認められます。これまでも「公共交通機関の利用が著しく困難な地域での通勤・通院」や、「公共交通が動いていない時間帯(深夜・早朝など)の通勤」といった事情がある場合は、福祉事務所の審査を経て車の保有が可能でした。
さらに近年、この例外規定を見直し、受給者の就労を後押しする動きが出ています。厚生労働省は、車がないと就労や子育てが難しい地域に住む「未就学児を育てるひとり親世帯」などを対象に、車の保有要件を緩和する方向で検討に入りました。車が使えないことで通勤可能なエリアや労働時間が厳しく制限され、結果として経済的自立が阻まれるという実態に対応するためです。

これに合わせて、地方自治体(福祉事務所)の就労支援策もより実践的になっています。車の保有が認められた受給者に対しては、ハローワークと連携して自動車通勤を前提とした求人マッチングを実施しています。また、就労開始のタイミングで直面しやすい車検切れや諸経費のトラブルに対しては、社会福祉協議会の貸付制度や、条件次第で支給される「就職支度費」を案内するなど、現実に即したサポート体制が構築されつつあります。生活保護制度における車の扱いは、「一律の制限」から「自立に向けた活用」へと少しずつ変化しています。
就労のためにどうしても車が必要な事情がある場合は、まずは担当のケースワーカーへ具体的に相談してみることをおすすめします。