第14回不動産・建設

一般不動産会社が「生活保護事案」を避ける現場のホンネとは

経営トップが社会的意義を感じて参入を決めても、現場スタッフは敬遠しがちです。不動産業界が居住支援事業に参入しにくい本当の理由を、経営と現場のギャップから解説します。

不動産会社のデスクに積み上げられた契約書類とパソコン

一般の不動産会社が生活保護受給者の物件探しを敬遠する背景には、「収益性」と「現場スタッフの意識」という2つの大きな壁が存在します。

不動産会社の経営目線で率直に言えば、生活保護関連の事案は「手間や時間がかかる割に、あまり儲からない」というのが本音です。しかし、そこに地域社会の維持や社会的意義を見出した場合、企業として本来は取り組むべき事業であると言えます。

ただ、ここで浮き彫りになるのが現場との深いギャップです。仮に経営トップが「生活保護関連の事案もしっかり対応するように」と指示を出したところで、通常の営業スタッフに経営者の想いはなかなか通じません。日々の業務や効率を求められるサラリーマンにとって、手続きが煩雑な事案は「時間がかかるし、めんどくさいからやらないでおこう」という結論に至りやすいのが実情です。

対象者の生活に寄り添うことを使命とする「福祉系のスタッフ」と、効率と数字を追う「不動産会社のスタッフ」。この根本的なスタンスの違いこそが最大の障壁であり、一般の不動産会社が居住支援事業に参入しにくい決定的な理由となっています。

経営の掲げる社会的意義と、現場の効率至上主義。このギャップをいかに埋め、組織として仕組み化していくかが、これからの居住支援における大きな課題と言えるでしょう。